ホワイトニングで歯がしみる・痛む本当の理由とケア方法【現役歯科衛生士が解説】

- ホワイトニングの痛みって激痛?
- どんな痛みなの?
- 痛みはどれくらい続く?
- 歯に悪い影響はない?
- 痛みを出ないようにするにはどうしたらいいの?
こういった疑問にお答えしていきます。
「ホワイトニングしたいけど、痛みや歯がしみるのが怖い」
そう思っている方はいませんか?
実際にホワイトニングを受けた方の中には、「冷たいものがしみた」「ズキズキした」という声も少なくありません。
とはいえ、それは一時的な症状であるケースが多く、正しい知識とケアで対処できます。
本記事では、ホワイトニングによる痛みの原因としみる理由をわかりやすく解説。
さらに、症状を軽減する具体的な対策や、実際の体験談+歯科衛生士のコメントも交えて、あなたの不安を解消します。
「歯に悪い影響はないの?」「どれくらい痛むの?」といったよくある疑問にも答えていくので、初めてのホワイトニングに不安がある方はぜひ参考にしてください。
ホワイトニングの痛みは激痛?
結論からお伝えしますと、必ずしも激痛が起こるとは限りません。
痛みに関しては個人差が非常に大きく、痛みが出やすい方もいれば全く出ないという方もいます。
これには歯の健康状態が大きく関係しており、そもそも生まれながらにして歯の性質は一人ひとり違いますし、ケアの仕方や生活習慣などによって歯の状態は十人十色。
ホワイトニング自体、結果には個人差が大きいものになります。
そのため、言ってしまうと歯の健康状態があまり良くない方ほど痛みは出やすい傾向にあります。
痛みを感じやすい人
- 虫歯がある人
- 歯が大きく欠けている人
- エナメル質が薄くなっている人
実は日本人のほとんどの方は歯の定期検診に行っていません。
虫歯が進行しているのに気づいていない方や、気づいていたとしても治療が嫌だからと歯医者さんに行かない方も少なくありません。
虫歯によって歯がダメージを受けていたり、欠けてしまっていたりする場合はその部分に痛みが出やすくなります。
普段力強く歯みがきをゴシゴシとしていたり、歯ぎしりや食いしばりをしたりすることによってエナメル質が削れてしまっている場合、また炭酸飲料などをよく飲むことでエナメル質が溶けて薄くなってしまっている場合も、染みるような痛みが出やすくなります。
痛みによる歯への悪影響
痛みが出たからと言って歯が弱くなったり脆くなったり、虫歯などの病気が進行したりするようなことはありません。
むしろホワイトニングすることによって虫歯や歯周病の原因となる菌を除去することができ、歯茎も引き締まるため予防につながります。
とはいえ、痛みがずっと続くようなことがあると不安になりますよね。
痛みはどれくらい続くのか、どんな痛みが出るのか、以下で確認していきましょう。
どれくらい痛みは続のか
痛みは長くても2〜3日もあればおさまります。
基本的にホワイトニングによる痛みは慢性化するものではないため、時間の経過とともに徐々におさまります。
もしも1週間以上たっても痛みが消えないような場合は、ホワイトニングをする前からもともと歯に何かしらの原因があって起こっている痛みになります。
そのため、時間がたってもなかなか治らない場合は歯科医院に相談しましょう。
どのような痛みなのか
どのような痛みが出やすいかというと、知覚過敏のような染みる感覚や歯の一部がズキンズキンとするような痛みが出やすいです。
歯周病が進行しいる場合だと、歯の根元の方や歯茎に痛みを感じるという方もいます。
施術中に出ることもあれば、施術がおわって数時間たってから出る場合もあります。
痛みを予防する方法
歯科検診を受けて治療を済ませておく
一番有効なのが歯科検診です。
先ほども軽くお話ししましたが、虫歯があるのに放ったらかしにしている人、結構多いです。
虫歯のような気がするけど痛くないからそのままにしていたり、歯茎の腫れや出血があるけれど市販品を使って自力で直そうとしていたりと歯医者さんに行かない方が大多数です。
虫歯治療は痛くて嫌だ、音が嫌いだ、などの理由をよく耳にしますが、治療が一番の近道ですし、何よりも歯を長く健康に保つために重要です。
とくにお口の中でも歯茎は鈍感な組織といわれており、初期症状が非常に分かりづらいです。
痛みが出てきたり、目に見える異常を感じたりしてから歯医者さんで見てもらうとなると、その頃にはかなり進行が進んでしまっていて、最悪の場合もう手遅れで歯を抜かなくてはならないということにもなりかねません。
検診に行くと自分では気付くことのできなかった病気や症状に気付くことができるので、普段から何もなくても定期検診に行くことはおすすめです。
早期発見は健康な歯や体を守るためにとっても重要になりますよ!
溶剤の濃度を優しめにしてもらう
歯は白くしたいけれど痛みが出るのは怖い!という方は、歯医者さんに相談して溶剤の濃度を優しくしてもらうことを検討するといいでしょう。
どんなホワイトニングでも1回の施術では今までに沈着した汚れを全て分解して落としきることは非常に難しいため、回数を重ねることで美しい統一感のある白さを目指すことができます。
そのため最初は優しめの濃度の溶剤で試してみて、大丈夫そうであれば徐々に濃度を濃くしていってみるという方法を試してみると安心です。
痛みの出る部分を覆う
歯の表面のエナメル質が溶けたり削れたりして、その下の象牙質が剥き出しの状態になっていると痛みが出やすいです。
歯が欠けてしまっていたり、ヒビが入っていたりする場合でもそこに溶剤が染み込むと痛みが起こる原因になるので、気になる方はあらかじめ覆ってもらうことをおすすめします。
歯を覆うことでその部分のホワイトニング効果は多少薄くなってしまいますが、心配な方は施術を受ける前に歯科医師に相談しましょう。
実際に痛みが出た方の体験談とその対処法
痛みは施術中、もしくは施術がおわって数時間後に出る場合もあるのですが、もしも施術中に耐えられないほどの痛みが出た場合はすぐに歯科医師に伝えましょう。
施術後しばらくしてから痛みが出てきた場合は様子見をして、もしも1週間以上痛みが続くようであれば歯に何らかの異常が起こっている可能性が高いので、すぐに歯科医師に相談しましょう。
ここからは実際に痛みが出た方の体験談とその対処法をお伝えします。
「冷たい水がしみて…食事が怖かった」(30代・女性)
ホワイトニングを受けた翌日、朝食時にいつも通り冷たいお茶を飲んだ瞬間、「ビーン!」と鋭い痛みが前歯に走りました。
まるで歯に氷を押し当てられたような刺激で、それからは食事が怖くなってしまい、飲み物を飲むのにも緊張するように。
普段は感じないようなちょっとした刺激にも敏感になっていて、「まさか虫歯?」と不安に。ネットで調べたところ「ホワイトニング直後は知覚過敏になることがある」との情報を見つけて、少し安心しました。
それから数日間は、常温の水や白湯だけを飲むようにし、食事もスープやおかゆ中心に。
だんだん痛みが引いてきて、通常の食生活に戻れるようになりました。

山辺
ホワイトニング後に一時的な知覚過敏になる方は少なくありません。歯の表面には「ペリクル」と呼ばれる薄い保護膜があり、これが薬剤によって一時的に除去されてしまうため、歯が無防備な状態になります。
その結果、冷たい水や空気といったちょっとした刺激でも痛みを感じることがあるのです。
このペリクルは時間とともに自然に再生されるため、数日経つと症状は緩和されます。
刺激の強い飲食物は控え、体温に近い温度のものを摂るように意識すると楽になりますよ。
「冷たい水を避けたら楽になった」という体験談は、まさに対処法として理想的な行動だったといえます。
「歯がしみて、磨けない!そんなときの救世主」(40代・男性)
ホワイトニング後の夜、いつも通り歯を磨いていたら、急にキーンとした痛みが。
「一体何が起こったんだ…?」と思いながらも、我慢して続けたのですが、次の日も同じようにしみる感じがあり、ついには歯磨きが怖くなってしまいました。
歯医者さんに相談したところ、「それは知覚過敏かもしれません」と言われ、知覚過敏用の歯磨き粉を勧められました。
少し半信半疑でしたが、実際に使ってみると、数日で痛みがかなり楽になり「こんなに違うのか!」と驚きました。
今ではその歯磨き粉を常備していて、ホワイトニング後は必ず使うようにしています。

山辺
ホワイトニング後のしみる感覚には個人差がありますが、原因の多くは薬剤の刺激による一時的な知覚過敏です。
こういった症状には「知覚過敏用歯磨き粉」の使用が非常に効果的です。具体的には、「硝酸カリウム」や「乳酸アルミニウム」が含まれているものを選ぶと、歯の神経への刺激を緩和しやすくなります。
この方のように、症状が出たら無理せず正しいケア用品に切り替えることが大切です。
「しみたら歯を磨かない」のではなく、「しみないように工夫して磨く」ことがポイントですよ。
「歯を白く保ちたくて磨きすぎた結果…」(20代・女性)
ホワイトニングをしたら歯が真っ白になって嬉しくて、「この白さをキープしなきゃ!」とつい気合いを入れてしまいました。
朝晩の歯磨きに加え、昼休みにも磨くようになり、強く・長くゴシゴシと。
でも、3日後くらいから歯がピリピリし始め、冷たいものを飲むとしみるように…。
「やばい、ホワイトニングのせいで歯がダメになったのかも」と不安になって相談すると、「磨きすぎでエナメル質を傷つけてしまっている可能性がある」とのこと。
歯ブラシをやわらかいものに替え、力を抜いて磨くようにしたところ、数日で症状は改善。
それ以来、歯磨きの“優しさ”を意識するようになりました。

山辺
ホワイトニング後に“白さを保ちたい”という気持ちは多くの方が持っています。
でも、歯磨きを頑張りすぎてしまうと、逆に歯の表面を傷つけてしまい、エナメル質が削れたり、知覚過敏の原因になることがあります。
ホワイトニング後の歯磨きは「回数よりも質」。
- やわらかめの歯ブラシ
- 力を入れすぎない
- 1本ずつ小さく磨く
この3つを意識することで、歯にも歯茎にもやさしいケアができますよ。
歯の白さを保ちつつ、健康的な口元を守ることができます。
よくある質問
Q1. ホワイトニング後、歯がしみるのはなぜですか?
歯の表面を守る「ペリクル」がホワイトニングによって一時的に剥がれることで、刺激に敏感になります。
冷たいものや風でもしみることがありますが、ほとんどは数日で回復します。
Q2. 知覚過敏になったらどうしたらいい?
「知覚過敏用歯磨き粉」の使用や、「ぬるめの飲食」「やさしい歯磨き」で対処できます。
どうしても症状が強い場合は、歯科医師に相談し、専用のコーティング剤などを検討するのも手です。
Q3. 痛みがあるときでも歯は磨いた方がいい?
はい、磨き方を工夫すれば大丈夫です。
毛先がやわらかい歯ブラシで、軽く小刻みに動かすことで痛みを抑えながら口内を清潔に保てます。
Q4. 痛みはどれくらいで治まりますか?
一般的には1〜3日で落ち着く方が多いですが、個人差があります。
1週間以上続く場合は、一度歯科で状態を確認してもらうことをおすすめします。
Q5. 痛みが出ないようにする予防法はありますか?
歯の状態やホワイトニングの方法に合わせた事前ケアが大切です。
たとえば、事前に知覚過敏用歯磨き粉を使っておく・食事内容に注意するなど。信頼できる施術者に相談するのもポイントです。
まとめ
ホワイトニング後の痛みやしみる症状は、多くの方にとって不安材料のひとつですが、ほとんどが一時的なものです。
実際のところ、
- ペリクル(歯の保護膜)の一時的な消失
- 磨き方や食べ物の刺激
- エナメル質の状態や個人差
など、いくつかの要因が重なって症状が出ているに過ぎません。
ポイントは「焦らずケアすること」。
正しい歯磨きの仕方、刺激を避ける食生活、適切なケアアイテムの選択──これらを意識するだけで症状はかなり緩和されます。
ホワイトニングは歯の美しさを高める素晴らしい手段ですが、同時に自分の歯と丁寧に向き合うきっかけにもなります。
不安があれば、遠慮なく歯科医院やサロンのスタッフに相談してくださいね!
参考情報・出典
石川県歯科衛生士専門学校卒業
フリーランスの歯科衛生士として、ホワイトニングサロンオーナーとして独立。
また歯科衛生士の新しい働き方として、個人のSNSを起点に、キャリアアップを目指す歯科衛生士さんの応援やサポートをしている。
2022年2月〜Kiratt広報としてオーラルケア知識などのYoutube配信と広報活動。
2022年5月〜Kiratt 金沢鞍月店にて独立。