【専門家解説】口が酸っぱい臭いがする原因とは?逆流性食道炎・虫歯・鼻炎の可能性と今すぐできる対策

「最近、口が酸っぱい臭いがする」

「朝起きたときに自分の口臭が気になる」

こんなお悩みはありませんか?

マスク生活が続いて、自分の口臭に気づく機会が増えた方も多いのではないでしょうか。

実はその酸っぱい臭い、ただの口臭ではなく、身体の不調のサインかもしれません。

歯科衛生士として多くの患者さんと接してきた経験から、口臭の相談は本当に切実な悩みだと感じています。

特に酸っぱい臭いがする場合は、いくつかの原因が考えられますので、一つずつ丁寧に見ていきましょう。

酸っぱい口臭の主な原因

口から酸っぱい臭いがする原因は、大きく分けて4つに分類されます。

それぞれの原因について、詳しく解説していきますね。

1. 胃・消化器系の不調

  1. 逆流性食道炎
  2. 慢性胃炎・胃潰瘍
  3. 食べ過ぎ・飲みすぎ

酸っぱい口臭で最も多いのが、実は胃腸のトラブルです。

私が臨床で見てきた中でも、「口臭が気になる」と来院された患者さんの多くが、よく話を聞いてみると胃の不調も抱えていることが多いんです。

逆流性食道炎は現代人に非常に多い疾患です。

本来、胃の中にあるべき胃酸が食道のほうへ逆流してしまうことで、酸っぱい胃液の臭いが口まで上がってきます。

「ゲップをしたときに酸っぱい液体が上がってくる」「胸焼けがする」といった症状があれば、逆流性食道炎の可能性が高いでしょう。

特に食後すぐに横になる習慣がある方、肥満気味の方、ストレスが多い方は要注意です。

胃酸が逆流しやすい状態になっているかもしれません。

慢性胃炎や胃潰瘍も酸っぱい口臭の原因となります。

胃の中で食べ物が正常に消化されず、胃内で発酵してしまうことがあります。

すると、その発酵臭が肺を通じて呼気として出てくるのです。

これは歯磨きだけでは改善できない口臭なので、胃の治療が必要になります。

また、ピロリ菌感染も見逃せません。

日本人の約半数が感染していると言われるピロリ菌は、胃の粘膜を傷つけ、慢性的な炎症を引き起こします。

これが口臭の原因となることも多いのです。

2. 口腔内のトラブル

  1. 虫歯による酸の発生
  2. 歯垢の蓄積・歯石
  3. 舌苔(舌の白い汚れ)

次に多いのが、お口の中のトラブルです。

歯科衛生士として日々患者さんのお口を拝見していると、口臭の原因がお口の中にあることも非常に多いと実感しています。

虫歯があると、細菌が糖を分解する際に酸を作り出します。この酸が酸っぱい臭いの原因になります。

特に奥歯や歯と歯の間の虫歯は自分では気づきにくく、知らないうちに進行していることがあります。

歯垢や歯石の蓄積は、細菌の温床です。

歯垢1mgの中には、なんと約10億個もの細菌が生息していると言われています。

これだけの細菌が口の中にいれば、当然臭いが発生します。歯石は歯ブラシでは取れないので、定期的に歯科医院でのクリーニングが必要です。

舌苔(ぜったい)も見逃せません。

舌の表面を鏡で見てみてください。白っぽくなっていませんか?

この白い汚れが舌苔で、細菌や食べかす、剥がれた粘膜などの塊です。

舌苔は口臭の主要な発生源の一つで、特に朝起きたときに臭いが強いのは、この舌苔が原因であることが多いんです。

歯周病も酸っぱい臭いというより、膿のような独特の臭いを発しますが、歯周病が進行すると口臭は確実に悪化します。

30代以上の約8割が歯周病またはその予備軍と言われていますので、決して他人事ではありません。

3. 鼻や喉の疾患による影響

  1. 副鼻腔炎(蓄膿症)
  2. 慢性咽頭炎
  3. 扁桃炎

意外に思われるかもしれませんが、鼻や喉のトラブルも口臭の原因になります。

なぜなら、鼻と口と喉はすべて繋がっているからです。

副鼻腔炎(蓄膿症)になると、鼻の奥の副鼻腔に膿が溜まります。

この膿が喉のほうに流れ落ちたり(後鼻漏といいます)、口や鼻から臭いとして出てきたりします。

鼻づまりが続いている、鼻水が喉に流れる感覚がある、という方は要注意です。

慢性咽頭炎や扁桃炎も、喉に膿や炎症性の分泌物が溜まることで口臭の原因となります。

特に扁桃腺の窪みに溜まる「膿栓(のうせん)」は、潰すと非常に臭いがあり、これが口臭の原因になっていることもあります。

4. 生理的な原因と生活習慣

  1. 口呼吸
  2. 水分不足
  3. 食生活の乱れ(にんにく・アルコール・酸性食品)

誰にでも起こりうる生理的な口臭もあります。

これは病気ではないのですが、生活習慣の改善で良くなることが多いです。

起床時の口臭は誰にでもあります。

寝ている間は唾液の分泌が極端に減るため、口の中の細菌が増殖しやすくなるんです。

唾液には殺菌作用があり、口の中を洗い流す自浄作用もあるのですが、それが低下するわけですね。

空腹時も同様です。お腹が空くと唾液の分泌が減少し、口臭が強くなります。

また、ダイエットで極端な食事制限をしている場合、代謝の過程で発生するケトン体が口臭の原因になることもあります。

口呼吸の習慣がある方は、常に口の中が乾燥している状態です。

鼻づまりや癖で口呼吸になっている場合、口腔内の自浄作用が低下し、細菌が繁殖しやすくなります。

ストレスや疲労も大きな要因です。ストレスがかかると、自律神経のバランスが崩れて唾液の分泌が減少します。

「緊張すると口が渇く」という経験は誰にでもあると思いますが、これと同じメカニズムです。

水分不足も見逃せません。現代人は慢性的に水分摂取が不足していると言われています。

水分が不足すると唾液の分泌も減り、口臭が強くなります。

口が酸っぱい臭いがする時の対処法

それでは、具体的にどう対処すればいいのか、原因別に詳しく説明していきます。

胃腸が原因の場合の対処法

胃腸のトラブルが疑われる場合は、まず生活習慣の見直しから始めましょう。

食事内容を見直すことが第一歩です。脂っこい食事や刺激の強い食べ物は胃に負担をかけます。

特に揚げ物、スナック菓子、ファストフードなどは控えめにしましょう。

また、酸味の強い食品(柑橘類、トマト、酢など)は胃酸の分泌を促進するので、逆流性食道炎の方は特に注意が必要です。

就寝前の飲食も重要なポイントです。

寝る直前に食べると、横になったときに胃の内容物が逆流しやすくなります。

理想は就寝の3時間前までに食事を済ませるようにしてください。

どうしても遅くなる場合は、消化の良いものを少量だけにしましょう。

コーヒーやアルコールは胃酸の分泌を増やし、食道の筋肉を緩めてしまいます。

つまり、逆流を起こしやすくする二重の悪影響があるんです。

好きな方には辛いかもしれませんが、症状がある間は控えめにすることをお勧めします。

食べ方も大切です。早食いは胃に負担をかけます。よく噛んでゆっくり食べることで、唾液の分泌も促進され、消化も助けられます。

一口30回噛むことを意識してみてください。

胃薬の活用も検討しましょう。市販の制酸剤(胃酸を中和する薬)や胃粘膜保護剤は、症状の緩和に役立ちます。

ただし、症状が続く場合は自己判断で薬を飲み続けるのではなく、必ず医療機関を受診してください。

慢性的な胃のトラブルは、適切な治療が必要です。

口腔内が原因の場合の対処法

お口の中に原因がある場合、日々のケアが非常に重要になります。

歯科衛生士として患者さんにいつもお伝えしていることをご紹介します。

まず、歯磨きの基本を見直しましょう。

「毎日磨いている」と「きちんと磨けている」は違います。

歯ブラシの毛先を歯と歯茎の境目に45度の角度で当て、小刻みに動かします。力を入れすぎず、優しく丁寧に磨くことがポイントです。

歯磨きは1回3分以上、できれば毎食後に行うのが理想です。

特に就寝前の歯磨きは絶対に欠かさないでください。寝ている間は唾液が減るので、磨き残しがあると細菌が爆発的に増えてしまいます。

歯ブラシだけでは歯と歯の間の汚れは取れません。

デンタルフロスや歯間ブラシを使って、歯の間もしっかりケアしましょう。

最初は面倒に感じるかもしれませんが、習慣にしてしまえば苦になりません。

フロスを使うと、歯の間から独特の臭いがすることがありますが、それこそが口臭の原因なんです。

舌苔を取るには、舌専用のブラシやクリーナーを使うのがベストです。

歯ブラシで舌を磨くと、舌を傷つけてしまうことがあります。

舌の奥から手前に向かって、優しく掻き出すように動かします。やりすぎは禁物。1日1回、朝の歯磨き時に行うだけで十分です。

マウスウォッシュの活用も効果的です。歯磨きだけでは届かない部分にも行き渡り、細菌の繁殖を抑えてくれます。

ただし、マウスウォッシュだけで歯磨きを済ませることはできません。あくまで補助的なものとして使ってください。

そして何より重要なのが、定期的な歯科受診です。

どんなに丁寧に磨いていても、歯石は自分では取れません。

3〜6ヶ月に1回は歯科でクリーニングを受けることをお勧めします。

鼻や喉が原因の場合の対処法

鼻や喉のトラブルが原因の場合は、耳鼻咽喉科の受診をお勧めします。

副鼻腔炎は、放置すると慢性化してしまうことがあります。

鼻づまりが2週間以上続いている、黄色や緑色の鼻水が出る、頭痛や顔面痛がある、といった症状があれば、早めに受診しましょう。

後鼻漏(鼻水が喉に流れる)がある場合は、小まめに水分を摂って喉を潤すことが大切です。

また、部屋の加湿も効果的です。乾燥すると症状が悪化しやすいので、特に冬場は加湿器を使うといいでしょう。

生活習慣の改善で予防する

原因に関わらず、すべての口臭予防の基本となるのが生活習慣の改善です。

水分をこまめに摂ることは、本当に大切です。1日に1.5〜2リットルの水分摂取を目標にしてください。

一度にたくさん飲むのではなく、こまめに少しずつ飲むのがポイントです。朝起きてすぐにコップ一杯の水を飲む習慣をつけると、口の中の細菌を洗い流すことができます。

口呼吸を鼻呼吸に変えることも重要です。意識して鼻で呼吸するようにしましょう。

寝ている間の口呼吸が気になる方は、口呼吸防止テープなども市販されています。

ストレスマネジメントも忘れずに。適度な運動、十分な睡眠、リラックスできる時間を持つことで、自律神経のバランスが整い、唾液の分泌も正常化します。

唾液の分泌を促すために、ガムを噛むのも効果的です。ただし、砂糖入りのものは虫歯の原因になるので、キシリトール配合のものを選びましょう。

こんな場合は早めに受診を

  1. 常に酸っぱい臭いがする
  2. 胸焼け・胃のムカつきがある
  3. 歯磨きしても口臭が改善しない
  4. 口の中に苦味・酸味が残る

上記のような症状がある場合は、自己判断で対処せず、早めに医療機関を受診することをお勧めします。

口臭が2週間以上続いている場合は、何らかの病気のサインかもしれません。

胸焼けや胃のムカつきが頻繁にある、食後にゲップが出ると酸っぱい液体が上がってくる、といった症状がある場合は、逆流性食道炎の可能性が高いです。消化器内科または胃腸内科を受診しましょう。

口の中に常に苦味や酸味がある、喉の奥に何か詰まっている感じがする、といった場合も、医療機関での検査が必要です。

どの診療科を受診すべきか迷ったら、まずは歯科を受診することをお勧めします。

歯科で口腔内に問題がないと診断されたら、次に消化器内科や耳鼻咽喉科を受診するという流れが良いでしょう。

最近では「口臭外来」を設けている医療機関もあります。

専門的な測定器で口臭を数値化し、唾液検査や細菌検査なども行って、原因を特定してくれます。

どうしても原因が分からない、複数の原因が絡んでいそう、という場合は、口臭外来の受診も検討してみてください。

よくある質問

Q1. 酸っぱい口臭は病気のサインですか?

一時的なものであれば心配ないことも多いですが、継続する場合は逆流性食道炎や虫歯、歯周病などの可能性があります。

症状が2週間以上続く場合は、医療機関の受診をお勧めします。

Q2. 自分で原因を見分ける方法はありますか?

臭いが強くなるタイミングで、ある程度の見当をつけることができます。

朝起きたときや空腹時に強い場合は生理的口臭、食後に酸っぱい液体が上がってくる場合は胃の問題、常に臭いがある場合は口腔内のトラブルの可能性が高いです。

ただし、正確な診断には医療機関での検査が必要です。

Q3. 胃薬を飲めば治りますか?

胃の不調が原因の場合、一時的に症状が緩和することはあります。

しかし、根本的な原因に応じた適切な治療が必要です。

市販の胃薬で2週間様子を見ても改善しない場合は、必ず医療機関を受診してください。

Q4. 歯科と内科、どちらを先に受診すべき?

まずは口腔内の状態確認を兼ねて、歯科を受診することをお勧めします。

虫歯や歯周病、舌苔などの問題がないか診てもらいましょう。

口腔内に問題がない場合は、消化器内科や耳鼻咽喉科を受診するという流れが良いでしょう。

Q5. マウスウォッシュだけで口臭は消えますか?

マウスウォッシュは一時的に口臭を抑える効果はありますが、根本的な解決にはなりません。

歯磨きやフロスでの物理的な清掃と組み合わせて使うことで、初めて効果を発揮します。

マウスウォッシュだけに頼るのではなく、総合的な口腔ケアを心がけてください。

まとめ

口から酸っぱい臭いがする原因には、胃腸の不調、口腔内のトラブル、鼻や喉の疾患、生活習慣など、様々な要因があることをお伝えしてきました。

一時的なものなら過度に心配する必要はありませんが、症状が続く場合は身体からの何らかのサインかもしれません。

「たかが口臭」と軽く見ずに、適切なケアと早めの受診で対処しましょう。

口臭の悩みは、本当に辛いものです。人と話すのが億劫になったり、自信を失ったりすることもあるでしょう。でも、原因を特定して適切に対処すれば、必ず改善できます。

日々の丁寧な口腔ケア、バランスの取れた食生活、十分な水分摂取、そして定期的な歯科受診。これらを習慣にすることで、口臭の悩みから解放され、自信を持って人と接することができるようになります。

何か気になることがあれば、遠慮なく歯科医院で相談してください。

私たち歯科衛生士は、皆さんのお口の健康をサポートするパートナーです。一緒に、健康で爽やかな息を取り戻しましょう。

ブログ監修:山辺 彩香

石川県歯科衛生士専門学校卒業

フリーランスの歯科衛生士として、ホワイトニングサロンオーナーとして独立。

また歯科衛生士の新しい働き方として、個人のSNSを起点に、キャリアアップを目指す歯科衛生士さんの応援やサポートをしている。

2022年2月〜Kiratt広報としてオーラルケア知識などのYoutube配信と広報活動。

2022年5月〜Kiratt 金沢鞍月店にて独立。

参考文献・出典

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