フッ素はホワイトニングに悪影響?フッ素の役割と使い方

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フッ素といえば歯磨き粉に含まれているイメージがあると思います。フッ素が歯にいいということは何となく知っている方も多いと思いますが、じつはホワイトニングをする際は、フッ素がホワイトニングの効果を阻害してしまう恐れがあります。

この記事ではフッ素が歯になぜいいのかと、フッ素がホワイトニングに与える影響についてご紹介していきます。

フッ素とは

フッ素(正しくはフッ化物)は自然界に多く存在するもので原子番号9の元素です。フッ素は土壌に多く含まれるミネラルのひとつで丈夫な歯や骨に必要な栄養素です。

お茶や魚介類、肉、野菜、果物など多くの食品にフッ素は含まれています。そのため、フッ素は普段私たちが口にしているものなので危険ではありません。

フッ素には歯を強化したり、虫歯を防いだり、知覚過敏を予防する働きがあり、私たちが毎日使う歯磨きにもフッ素という言葉をよく耳にするため、「フッ素=歯にいいもの」と思っている人も多いでしょう。

フッ素は通常の摂取量は有害ではありません。

フッ素はなぜ歯にいいの?

フッ素が歯にいいとされているには以下の3つの点があげられます。歯を虫歯のない健康な状態に保つためにはフッ素を上手に使うことで、虫歯などから歯を守ることができます。

  1. 細菌の働きを弱める
  2. エナメル質の修復
  3. 歯の質を強くする

1. 細菌の働きを弱める

フッ素は細菌が糖を分解するための酵素(エノラーゼ)の働きを抑制させます。そのため細菌が糖を作り出すのを減らし、エナメル質が溶け出すのを予防してくれます。

2. エナメル質の修復

人間の体の中でエナメル質は一番硬い部分で、その硬さは骨よりも硬い組織です。そんな硬いエナメル質ですが、食事をすることによって口の中に食べかすがあると口の中の虫歯菌が酸を作り出し、歯の表面に酸が付着すると徐々に溶かされ穴が空いてしまい、これが虫歯となります。

人は1日の中でも脱灰と再石灰化を何度も繰り返しています。脱灰というのは酸によって歯が溶ける現象をいいます。再石灰化は溶けた部分が唾液などによって修復されることをいいます。

フッ素は酸により歯から溶け出したカルシウムやリンを補うことで、再石灰化を促進する働きがあります。

初期虫歯を修復するのに半年以上はかかるとされていますが、フッ素など口のケアをすることによって再石灰化しやすい状態にすることができます。そのため、フッ素はエナメル質の修復も行うため、初期虫歯にも効果が期待できます。虫歯の有無は自分では判断できないため、定期的に歯科医院で歯の状態を確認してもらう習慣をつけましょう。

3. 歯の質を強くする

エナメル質は結晶を作っていて酸に弱く壊れやすい性質がありますが、フッ素が加わることで酸に負けない結晶となり、結果的にエナメル質が強くなり虫歯になりにくい歯になります。フッ素自体にも殺菌効果があるため、虫歯の活動を抑えることができます。

フッ素がホワイトニングに与える影響

ここまで、フッ素が歯に与えるメリットは多く積極的に利用したいですが、ホワイトニングをする場合にはフッ素を使うタイミングに注意が必要となる場合があります。

ひとことでフッ素と言っても、いくつか種類がありますので、ここでは種類とどのような影響を与えるのかを簡単にまとめました。

ホワイトニングの前やホワイトニングと一緒に使用できるのはフッ化ナトリウム(NaF)のみになります。フッ化ナトリウムは歯磨き粉に含まれる一番スタンダードな成分で、幅広い年代に使用されているものになります。

モノフルオロリン酸(MFP)

歯磨き粉に配合されています。酸性のため穂サイトニング前には注意が必要です。

フッ素第二スズ(APF)

虫歯予防効果があるため多くの歯磨き粉に配合されています。スズが歯に着色する場合があるためホワイトニング中は使用しないほうがいいでしょう。

フッ素リン酸(APF)

フッ化ナトリウムをリン酸で酸性にしたもの。歯科医院で直接歯に塗ったり、うがいに使用される。ホワイトニング前には使用できません。

フッ化ジアミン銀(サホライド)

虫歯予防や虫歯の進行を抑制するために小児に使用されるフッ素になります。歯が黒く変色するため、ホワイトニングの予定がある場合は、フッ素を塗布する際に相談することをおすすめします。

フッ素を使うのはホワイトニングの後がおすすめ

フッ素入りの歯磨きは数多く販売されていて、フッ素入りの歯磨きを使ったことがある方も多いと思います。フッ素は口の中で酸を作りにくくすることで、エナメル質が溶け出すのを予防してくれる働きがありますが、そのフッ素の働きがホワイトニング剤が歯に浸透しにくくしてしまいます。

そのため、ホワイトニングをする場合には、ホワイトニング前には一旦フッ素の使用は控えていたただきホワイトニングの施術が終わった後に使用することをおすすめします。

歯科医院でフッ素を塗布して虫歯予防するのも同様にホワイトニング前に行ってしまうと、ホワイトニングの効果が薄れてしまうため、ホワイトニングの施術を考えている方はフッ素の使用するタイミングを調整することをおすすめします。

フッ素入り歯磨き粉を使う適量を守りましょう!

フッ素が歯にとってのメリットが多いですが、歯磨きの時にどれくらいの量が適量なのかを年齢別にまとめてみました。

  • 0歳〜2歳 1〜2mm 米粒程度
  • 3歳〜5歳 5mm 豆くらいの大きさくらい
  • 6〜14歳 1cm
  • 15歳以上 2cm

普段使っている歯磨きの量と差はありますか。思ったより少なめでいいことが分かります。たっぷり使えば効果が高くなるわけではないので、適量を継続して使用することが大切になります。

なお、フッ素は口の中に長い時間とどまることで効果を発揮するため、うがいは少量の水で1回だけうがいし、口の中にフッ素が残っている状態にすることが大切です。

フッ素って危険じゃないの?

例えば歯磨き粉やフッ素入りの洗口液を飲み込んでしまった場合は問題がない場合が多いです。

フッ素の過剰摂取するなどして急性中毒になる目安としては4歳の子どもが65gのフッ素1000ppmの歯磨き粉を丸ごと1本食べてしまった場合などです。

この量を一度に体に取り込んでしまった場合は、ただちに対応する必要があります。基本的には吐かせるか、胃洗浄、牛乳などを飲ませるといった対応になりますが、どれくらいの量を取り込んだのかをある程度把握し、病院で診てもらうのが安心です。

とはいえ、ここまでの量の歯磨き粉を摂取するのは普通ではなかなか考えにくいので、普通に使用する分にはさほど健康に影響がある量にはならないと考えられます。

まとめ:フッ素の働きを活用するにはコツコツ継続することが大切

フッ素は虫歯の予防や歯を強くしたりするなど、歯にとって様々なメリットがあります。ですが、その働きがホワイトニングでは効果を阻害してしまうため、フッ素とホワイニングはあまり相性がよくないことが分かりました。

フッ素を利用するときはホワイトニングの後に使用すれば、それぞれ最大限の効果が実感できると思います。

ホワイトニングの施術を検討している場合には、フッ素入の歯磨き粉やフッ素入りの洗口液、歯科医院でのフッ素の塗布などの予定があることを事前に歯科医院やホワイトングサロンで確認し、フッ素の影響がないようにホワイトニングのタイミングを相談すると安心です。

またフッ素の働きを最大限に活用するには、長く口の中に留めておくことが大切です。そのためフッ素入りの歯磨き粉や洗口液を使ったときは、少ない量の水でなるべく1回のうがいで口の中にフッ素が残るように意識しましょう。

監修:山辺 彩香

石川県歯科衛生士専門学校卒業

フリーランスの歯科衛生士として、ホワイトニングサロンオーナーとして独立。

また歯科衛生士の新しい働き方として、個人のSNSを起点に、キャリアアップを目指す歯科衛生士さんの応援やサポートをしている。

2022年2月〜Kiratt広報としてオーラルケア知識などのYoutube配信と広報活動。

2022年5月〜Kiratt 金沢鞍月店にて独立。