唾液を増やすことが口臭予防に!?唾液の役割とマッサージ方法をご紹介
健康的な口臭予防には、唾液の量を増やすことが重要です。唾液は口腔内の自然な洗浄作用を担っており、さまざまなメリットをもたらします。
適切な唾液の分泌量を維持することは、口臭を抑えるだけでなく、歯の健康や消化器の調子を整える上でも効果的です。この記事では、口臭の原因と唾液を増やす方法について詳しくご紹介します。
口臭には2つの種類がある?
口臭には”生理的口臭”と”病的口臭”があります。
生理的口臭は健康な人でも少なからず誰しも持っている口臭です。みなさんも心当たりがあると思いますが、朝起きた時や空腹の時など、少なからず口臭が気になる場面があります。1日を通しても口臭は変化しており、口臭が強い時と弱い時があります。
生理的口臭
人は唾液の働きのおかげで口の中を自浄作用し、口臭を抑える働きがあります。一方で起床時や、空腹時、緊張した時などには唾液が減ったことで、口の中の細菌が増殖し、結果的に口臭の原因と繋がります。
予防としては歯磨きや唾液を増やすことで口臭を軽減することができます。
病的口臭
つぎに病的口臭というのは、その名のとおり病気が原因で発生する口臭のことです。
病的口臭は以下の2種類に分けられます。
- 口腔内由来
- 全身由来
1 口腔内由来
歯周病、虫歯、ドライマウスなど口腔内が原因の場合の口臭です。
一般的な口臭の90%は口腔内由来と言われています。歯周病や虫歯の治療や毎日の口内ケアが大切になってきます。
口腔内由来の口臭は定期的なクリニックの検診や、毎日の歯磨きや唾液を増やすことで、口臭を減らすことができます。
2 全身由来
もうひとつは全身由来からくると言われる口臭です。
鼻・喉の病気、呼吸器系、糖尿病、扁桃腺、咽喉頭ガンなどや胃潰瘍や胃ガンなどの消化器系など様々な病気が口臭の原因となる場合があります。
こちらは病気により発生する口臭で、自分で口臭をケアするのはなかなか難しいです。まずは適切な治療を受け症状が改善するように努めましょう。
口臭を引き起こす時
日々の生活の中で口臭を引き起こす原因として以下のことがあげられます。
- 朝起きたとき
- 緊張やストレスなど唾液が減った時
- 舌苔(ぜったい)が増えた
- ドライマウス
- タバコ
1.朝起きたとき
睡眠時は唾液の分泌が減り、口の中の細菌が増えやすく、誰しも朝起きた時は多少は口臭が気になります。寝ている間の唾液が減る予防としては、寝る前にコップ1杯ほどの水分を摂ることや、丁寧な歯磨き、そして朝起きたタイミングで歯磨きをすることが効果的です。
2.緊張やストレスなどで唾液が減った
唾液の分泌量は精神状態も影響します。そのため、唾液の分泌を司る自律神経も関係しているため、緊張やストレスで交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、交感神経が優位になると唾液量が減り、タンパク質を含むネバネバした唾液が分泌され、結果的に口臭へとつながってしまいます。
そのため、ストレスを溜めないようにゆっくりお風呂に入る、趣味の時間を楽しむ、睡眠をしっかりとるなど自律神経が崩れないように意識すると、副交感神経が優位になり、リラックスした状態のため唾液の分泌が増え、口臭の対策にもつながります。
3.舌苔(ぜったい)が増えた
舌苔(ぜったい)は舌の表面に付着する白っぽい苔のようなもので、食べかすや唾液の成分や細菌などからなっています。
舌苔が増える原因は一体何なのでしょうか?
- 間食することが多い
- 食後に歯磨きをしない
- 口呼吸をしている
- 過度のストレス状態が続いている
- 舌の筋力の低下
ただし、まったく舌に舌苔がない状態もよくありません。まったく舌苔がない状態は消化器系に何らかの疾患があったり、代謝機能が落ちている場合があります。
舌は大変傷つきやすいので舌苔を取り除く場合は、舌専用のブラシを使い、1日1回までにとどめ、優しくケアをすることを心がけましょう。
4.ドライマウス
ドライマウスとはストレスや薬の副作用により、口の中が乾燥した状態になることで、”口内乾燥症”ともいいます。
ドライマウスになると虫歯にもなりやすくなります。
ドライマウスになると口の中がネバネバした状態になり、水分が少ない食べ物が食べづらくなります。口の中が乾燥することにより、殺菌作用のある唾液が減り、プラーク(歯垢)が増え、虫歯が増えたり、口臭が気になるようになります。
女性のほうがホルモンの影響を受けドライマウスになりやすいと言われています。ストレスや緊張状態になり、交感神経が優位な状態が続くと、唾液の分泌が減りドライマウスになりやすくなります。
5.タバコ
タバコに含まれる有害物質が口臭の原因になります。タバコにはニコチンやタールといった成分が含まれ、口の中の血管を収縮させる働きがあります。
タールと呼ばれる物質はタバコが燃焼することによって生成される黒い物質で、嫌なにおいや着色の原因とされていて、口臭や歯の黄ばむ原因とされています。
タバコの後に歯磨きやうがいをすればある程度は除去できますが、歯に付着したタールは簡単には除去することは難しいため、定期的に歯科医院などで歯のクリーニングが必要となります。
お口の酸っぱい臭いが気になる場合は以下の記事にて詳しく解説しています。参考にしてみてください。
唾液の役割
唾液は成人の人であれば1日平均1.0L〜1.5Lほど分泌されます。唾液は私たちの体にどんな役割があるのでしょうか。
- 自浄作用
- 味を感じやすくなる
- 飲み込みがスムーズになる
- 消化作用
- 再石灰作用
- 殺菌作用
- 緩衝作用
こうして唾液の役割をあげても、唾液が私たちが健康に過ごすためにも重要な役割をもっていることが分かります。口臭の予防はもちろんですが、食べ物を飲み込むときにスムーズに飲み込めたり、虫歯予防の働きなど、健康に食べ物を口にできるのも唾液の役割のおかげと考えられますね。
唾液は簡単に増やすことができますので、意識するだけでも簡単に対策することができます。
唾液を増やすには?
- しっかりと噛んで食事をするようにしましょう。
- こまめな水分補給
- 鼻呼吸を意識する
- マッサージをして唾液を増やす
- ガムを噛む
バランスのよい食事を心がけ、1口につき30回以上は噛むように意識して食事しましょう。そしてこまめな水分補給により、口の乾燥を防ぐことになります。
特に唾液を増やすのに効果的な方法はマッサージとガムを噛むことです。どちらも少しの時間でできますので、口臭に効果のある唾液分泌を促すためにも日々の生活に取り入れてみましょう。
唾液を増やすためのマッサージ方法
口臭の対策やお口の中を清潔に保つには唾液の分泌が大切です。ここでは唾液を増やすマッサージをご紹介します。
まず、唾液腺の場所を簡単に説明します。
マッサージに登場するのは唾液を分泌するのに大切な3つの唾液腺です。
舌下腺と顎下腺、耳下腺は大唾液腺と呼ばれます。そして大唾液腺のほかに小唾液腺が口のいたる場所に分布します。
今回ご紹介する唾液を増やすマッサージ方法は大唾液腺を刺激して唾液を増やす方法です。
朝、顔を洗ったときや寝る前の歯磨きの時間、テレビを見ている時間などに簡単にできるマッサージなので、口の中が乾燥している、唾液が少ないと感じる人はぜひチャレンジしてみましょう。
3つのマッサージは5〜10回を目安に行いましょう。
マッサージの手順を図解にまとめました!マッサージの方法については以下を参考にしてください。
- 耳下腺をマッサージする
耳の横に手を添えて円を描くように後ろから前へ優しくマッサージします。 - 舌下腺をマッサージする
両手の指どおしを組み、親指をあご下に当て真上に押し上げます。 - 顎下腺をマッサージする
顎の骨の内側にある柔らかい部分に顎下腺はあります。
耳の下からあご先までの5ヶ所くらいを指で1〜2秒優しく押します。
マッサージをすることで簡単に唾液を増やすことができます。65歳以上の人は3人に1人はドライマウスともいわれています。全身に影響のある大切な唾液を増やすためにも、ぜひ積極的にマッサージの習慣を取り入れてみましょう。
まとめ:唾液を増やすことで口臭予防につなげましょう
今回は口臭の対策に唾液を増やす方法をご紹介しました。
唾液の働きは口臭の予防や、虫歯予防、食べ物を円滑に飲み込みやすくするなど、普段あまり意識していないですが、私たちの体の中で大きな役割を果たしています。
口臭は生理的口臭というものもあり、どんな人でも少なからず存在するものです。あまり神経質になりすぎるのはよくありませんが、自律神経や胃腸の調子など、体の不調も大きく影響します。
ちょっと口の中が乾いてきたなと感じたら、今回紹介したようなマッサージや梅干しやガムを噛むなど、唾液を増やすことを心がけて健康な口内環境を手に入れましょう。
石川県歯科衛生士専門学校卒業
フリーランスの歯科衛生士として、ホワイトニングサロンオーナーとして独立。
また歯科衛生士の新しい働き方として、個人のSNSを起点に、キャリアアップを目指す歯科衛生士さんの応援やサポートをしている。
2022年2月〜Kiratt広報としてオーラルケア知識などのYoutube配信と広報活動。
2022年5月〜Kiratt 金沢鞍月店にて独立。