歯磨き粉に含まれる研磨剤とは?歯に与える影響や歯磨き粉の正しい選び方を解説

Kirattブログタイトル 歯磨き粉の研磨剤ってどんなもの?歯に与える影響とは
  • 歯磨き粉の研磨剤ってどんなもの?
  • 歯を削るって聞いたことがあるけど…
  • 研磨剤入りの歯磨き粉を使っても大丈夫?
  • こういった疑問にお答えしていきます。

    歯磨き粉にふくまれる研磨剤は、歯の表面についた汚れや歯垢を取りのぞくために使われます。

    研磨剤はさまざまな種類があり、主に天然由来のものと合成されたものがあります。

    ここでは、歯磨き粉にふくまれる研磨剤の種類と歯に与える影響について説明していきます。

    記事は5分で読み終わります。

    研磨剤とは?歯磨き粉に入っている理由

    歯磨き粉に含まれる「研磨剤」は、歯の表面についた汚れや着色(ステイン)を物理的に除去するための成分です。

    あくまで“汚れ”を落とすための成分であり、歯そのものを白くする漂白剤(ホワイトニング成分)とは異なります。

    エナメル質を削るって本当?

    研磨剤と聞くと「歯を削るのでは?」「傷がつくのでは?」と不安になる方も多いかもしれません。

    実際には、歯の表面にあるエナメル質よりも硬さの低い微粒子(例:シリカ、炭酸カルシウムなど)が使用されており、正しく使えば歯に大きなダメージを与えることはありません。

    ただし、強くこすりすぎたり、高研磨の製品を長期間使用したりすると、エナメル質が徐々に摩耗してしまうリスクもあります。

    特に、酸性の飲食物(炭酸飲料・柑橘類など)でエナメル質が弱っている状態では、研磨剤による影響を受けやすくなるため注意が必要です。

    研磨剤の役割は「歯の表面の汚れ・ステイン除去」

    毎日の食事や飲み物、喫煙などによって歯の表面には「ステイン(着色汚れ)」が蓄積していきます。これを落とすのに効果的なのが研磨剤入りの歯磨き粉です。

    ステインは、歯のくぼみや細かな表面の溝に入り込むため、通常のブラッシングだけでは落ちにくいことがあります。

    そのため、微細な粒子が汚れを物理的にこすり落とすことで、ツルツルとした清潔感ある歯に仕上げることができます。

    ただし、研磨剤の効果は“汚れを取る”ことであって、歯そのものを白くすることではありません。

    ホワイトニング効果を求める場合は、クリニックでのホワイトニング施術を検討しましょう。

    歯磨き粉の研磨剤の種類

    歯ブラシに歯磨き粉が乗っている画像

    シリカ(二酸化ケイ素)

    シリカは、天然の石英や珪砂(けいしゃ)という砂を原料として合成されたものです。

    歯磨き粉にふくまれる研磨剤の中でも最も一般的なもので、柔らかいタイプから硬いタイプまで様々な粒子サイズがあります。

    シリカは歯の表面についた汚れを効果的に除去することができますが、過度に使用すると歯の表面を傷つけることがあります。

    アルミナ(酸化アルミニウム)

    アルミナは、天然のボーキサイトを原料として合成されたものです。

    シリカと同様に歯の表面についた汚れを取り除くことができますが、硬度が高く歯の表面を傷つけることがあるためシリカよりも使用頻度が低いです。

    リン酸カルシウム

    リン酸カルシウムは、歯の主成分であるハイドロキシアパタイトと同じ化学構造を持っているため、歯の再石灰化を促す作用があります。

    また汚れを取りのぞく効果もありますが、シリカやアルミナに比べて研磨力が弱いため歯の表面を傷つける心配はありません。

    炭酸カルシウム

    炭酸カルシウムは天然の石灰岩や貝殻を原料として合成されたものです。

    歯の再石灰化を促す作用があり、シリカやアルミナよりも優しい研磨力で汚れを取りのぞくことができます。

    しかし炭酸カルシウムが含まれる歯磨き粉は泡が立ちにくく、口内でのすすぎ残しが残りやすいという欠点があります。

    パーフルオロヒドロキシアパタイト(フッ化水素カルシウム)

    パーフルオロヒドロキシアパタイトは、フッ化物イオンを含む歯の主成分であるハイドロキシアパタイトをベースに合成されたものです。

    フッ素の効果によって歯を強化し、虫歯を予防する効果があります。

    また汚れを取りのぞく効果もありますが、シリカやアルミナに比べて研磨力は弱いため、汚れが強い場合には効果が限られてきます。

    歯磨き粉に含まれる研磨剤が歯に与える影響

    右頬を右手で押さえて険しい表情押して目を閉じている女性の画像

    研磨剤が歯にあたえる影響は、研磨剤の種類や研磨力によって異なります。

    適切な使用方法を守ることで、研磨剤が歯にあたえる影響を最小限におさえることができます。

    歯の表面の摩耗

    研磨剤は歯の表面をこすって汚れや着色を除去するため、歯の表面の摩耗を引き起こします。

    摩耗は歯の表面を平らにすることで、虫歯や歯周病の原因となる細菌の付着を減少させる効果があります。

    しかし過度の摩耗は歯の表面を傷つけ、歯が削れてしまう可能性があります。

    また歯を削ることによって歯が細くなり、歯の根元の部分が露出することもあります。

    感覚過敏

    研磨剤による摩耗は、歯の表面にあるエナメル質や象牙質の層を薄くするため、歯の神経に刺激が伝わりやすくなります。

    そのため、歯が冷たい飲み物や熱い飲み物、甘い食べ物などに過敏に反応する感覚過敏を引き起こすことがあります。

    歯面の傷

    研磨剤が歯の表面をこすることで、微小な傷ができることがあります。

    この傷によって細菌が付着しやすくなり、虫歯や歯周病の原因になる可能性があります。

    また傷ついた歯の表面は着色しやすくなるため、逆に歯の美しさを損なう可能性もあります。

    歯の再石灰化を促進する

    歯磨き粉にふくまれるリン酸カルシウムや炭酸カルシウムなどの研磨剤は、再石灰化を促進する作用があります。

    再石灰化は、歯の表面についた汚れや酸性物質によって失われたミネラルを補充することで、歯を強く健康的に保つために重要です。

    虫歯予防効果がある

    歯磨き粉にふくまれるパーフルオロヒドロキシアパタイトなどのフッ素をふくむ研磨剤は、歯の表面についた酸性物質を中和して歯の表面を強化し、虫歯予防に効果があります。

    しかし、フッ素は過剰に摂取すると歯の着色やミネラル不足による歯の弱化、健康被害を引き起こす可能性があるため、適切な量で使用することが重要です。

    歯垢の除去に効果がある

    歯磨き粉に含まれる研磨剤は、歯垢の除去に効果があります。

    とくにシリカやアルミナなどの硬い研磨剤は、歯垢をしっかりと削り落とすことができます。

    しかし逆に過剰な研磨力によって歯の表面が傷つき、歯垢が付着しやすくなることがあるため注意が必要です。

    口腔内のバランスを崩す

    歯磨き粉に含まれる成分が口腔内のバランスを崩すことがあります。

    例えば、界面活性剤が歯磨き粉に含まれる場合、口腔内の粘膜を刺激し、口内炎や口腔乾燥症の原因になることがあります。

    また、香料や防腐剤などの成分によって、口腔内の微生物叢が変化することもあります。

    以上のように、研磨剤は歯に対してさまざまな影響を与えます。

    そのため、研磨剤を含む歯磨き粉の使用には適切な量と方法が必要です。

    歯磨き粉のパッケージには使用方法や使用量に関する指示が記載されているので、それに従うようにしましょう。

    また、歯医者に相談することも有効です。

    歯の状態に合わせた歯磨き粉の選択や使用方法、歯科医師からのアドバイスを受けることで、効果的な歯磨きケアが可能になります。

    研磨剤なし vs あり|どちらを選ぶべき?

    歯磨き粉を選ぶ際、「研磨剤入り」と「研磨剤なし(または低研磨)」のどちらが良いか迷う方は多いのではないでしょうか?

    それぞれにメリット・デメリットがあるため、ご自身の歯の状態や目的に応じて選ぶことが大切です。

    研磨剤ありの歯磨き粉がおすすめな人

    1. コーヒーや紅茶、赤ワインなどによるステインが気になる人
    2. タバコのヤニが付きやすい人
    3. 表面の汚れをしっかり落としたい人
    4. 歯のザラつきやくすみが気になる人

    強い着色汚れがある場合、適度な研磨力でしっかり磨くことが大切です。
    ただし、長期間にわたる強いブラッシングや高研磨製品の使用は避けましょう

    研磨剤なし・低研磨の歯磨き粉がおすすめな人

    1. 知覚過敏がある、または歯がしみやすい人
    2. 矯正治療中・インプラントやブリッジがある人
    3. ホワイトニング後のデリケートな歯をケアしたい人
    4. エナメル質が薄い、または歯の摩耗が気になる人

    研磨剤を使わずに、酵素や薬用成分で汚れを落とすタイプもあり、歯にやさしいケアを求める方に適しています。

    両者の使い分けがベスト

    実際には、使い分けがおすすめです。

    例えば、「夜は研磨剤入りでしっかりステイン除去、朝は低研磨でやさしくケア」など、場面によって使い分けると、歯の白さと健康をバランスよく保つことができます。

    RDA値とは?歯に優しい研磨力の指標

    歯磨き粉に含まれる研磨剤の「強さ」や「歯へのやさしさ」を数値化したものが、RDA値(Radioactive Dentin Abrasion)です。

    これはアメリカ歯科医師会(ADA)などの基準で使用されており、数値が低いほど歯にやさしく、高いほど研磨力が強いことを意味します。

    RDA値の目安と分類

    RDA値 研磨力の強さ 特徴
    0〜70 低研磨 知覚過敏や矯正中の方、ホワイトニング後におすすめ
    71〜100 中程度 毎日のケアに使用されることが多い
    101〜150 高研磨 頑固なステイン・タバコのヤニ除去に効果的だが、頻繁な使用には注意

    RDA値を確認するには?

    市販されている歯磨き粉には、RDA値が明記されていないことも多くあります。

    そのため、「低研磨」や「知覚過敏用」「ホワイトニング後に使用OK」と記載されている製品を選ぶのがポイントです。

    低研磨の代表的な歯磨き粉

    チェックアップ スタンダード:RDA値 30前後

    ▶︎ 公式サイト

    アパガード プレミオ:RDA値 約55(推定)

    ▶︎ 公式サイト

    ライオン クリニカアドバンテージ:RDA値 約70

    ▶︎ 公式サイト

    歯の状態や目的によって、研磨剤の強さを使い分けることが、歯の健康を守りながら効果的なケアを行うコツです。

    研磨剤以外の成分と効果

    赤、黄、緑、青の毛先をした歯ブラシの上に歯磨き粉が乗っている画像

    歯磨き粉の種類によっては、研磨剤以外にも様々な成分が含まれています。

    以下に代表的な成分とその効果をお伝えしていきます。

    フッ素

    フッ素は、歯の表面についた酸によって溶けたリンやカルシウムの再石灰化を促し、虫歯予防に効果を発揮します。

    フッ素をふくむ歯磨き粉は虫歯予防に非常に効果的であり、とくに子供の歯には重要です。

    ただし、フッ素は過剰に摂取するとフッ素中毒を引き起こすため、適切な量で使用することが重要です。

    抗菌成分

    歯磨き粉にふくまれる抗菌成分は口腔内の細菌を抑制し、口臭や歯周病の予防に効果があります。

    代表的な抗菌成分としては、トリクロサン、クロルヘキシジングルコン酸塩、テトラサイクリンなどが挙げられます。

    ただし、過剰に使用すると口腔内の正常な微生物叢を破壊する可能性があるため、適切な量で使用することが重要です。

    歯根のエナメル質を守る成分

    歯根のエナメル質は歯茎が下がって露出した状態になると、酸や細菌によってダメージを受けやすくなります。

    歯磨き粉には歯根のエナメル質を保護する成分が含まれている場合があります。

    代表的な成分としては、ノビロンやポリアクリル酸ナトリウムなどが挙げられます。

    漂白成分

    歯磨き粉には、歯の着色を除去するための漂白成分が含まれている場合があります。

    代表的な漂白成分としては、過酸化水素、炭酸水素ナトリウム、二酸化チタンなどが挙げられます。

    ただし、漂白成分は歯の表面を傷つける可能性があるため、適切な量で使用することが重要です。

    よくある質問(FAQ)

    Q1. 研磨剤入りの歯磨き粉を毎日使っても大丈夫?

    基本的にRDA値が100以下の製品であれば、毎日使用しても問題ありません。

    ただし、強くこすりすぎたり、高研磨タイプを長期間使い続けると、エナメル質の摩耗や知覚過敏の原因になることもあるため、正しいブラッシングと使い分けが大切です。

    Q2. 子ども用歯磨き粉にも研磨剤は入ってる?

    多くの子ども用歯磨き粉には、非常に低研磨〜無研磨の成分が使われています。

    乳歯や永久歯の生え始めはデリケートなので、子どもには必ず子ども用の低研磨製品を使いましょう。

    Q3. 知覚過敏がある場合、研磨剤入りは使わないほうがいい?

    高研磨の製品は避けた方が無難ですが、RDA値の低い研磨剤入り歯磨き粉であれば問題ないこともあります。

    ただし、知覚過敏がひどい場合は、知覚過敏ケア専用の低研磨タイプ(例:シュミテクト、システマセンシティブなど)を使い、症状が改善するまでは刺激を抑えるケアが優先です。

    Q4. ホワイトニング後に研磨剤入り歯磨き粉は使える?

    ホワイトニング直後の歯は一時的に敏感になっていることがあります。

    そのため、24時間以内は低研磨または研磨剤なしの歯磨き粉を使うのがベターです。

    以降は、ステインの再付着を防ぐために、低〜中研磨のホワイトニング対応歯磨き粉を使うのがおすすめです。

    Q5. 「研磨剤無配合」と書かれた歯磨き粉でも汚れは落ちる?

    はい、酵素やポリリン酸ナトリウム、重曹などの洗浄成分によって、汚れやステインを落とすタイプもあります。

    ただし、頑固な着色汚れには効果が弱いこともあるため、用途や目的に応じて選ぶことが大切です。

    まとめ

    研磨剤は歯についた汚れを効果的に落としてくれるため、一概に危険なものとはいえません。

    注意すべきは歯をみがく時の力加減です。

    削り落とす効果が強い研磨剤入りの歯磨き粉を使って力強くゴシゴシと歯磨きしたら、必要以上に歯の表面を削ることになるため、あなたの健康な歯も削る可能性が高くなります。

    歯をみがく際はなるべく優しく、歯の表面をなでるようにしてブラッシングしましょう。

    ゴシゴシと磨かなくても歯垢は落とせます。

    こちらの記事で歯磨きの正しいやり方について詳しく解説していますので、ぜひ一緒に歯磨きしてみてください。

    歯磨き粉の効果を最大限に引き出すためにも歯磨きのやり方はとっても重要です!

    これを機に、自分の歯磨きのやり方を見直してみましょう。

    参考文献・信頼リンク

    ブログ監修:山辺 彩香

    石川県歯科衛生士専門学校卒業

    フリーランスの歯科衛生士として、ホワイトニングサロンオーナーとして独立。

    また歯科衛生士の新しい働き方として、個人のSNSを起点に、キャリアアップを目指す歯科衛生士さんの応援やサポートをしている。

    2022年2月〜Kiratt広報としてオーラルケア知識などのYoutube配信と広報活動。

    2022年5月〜Kiratt 金沢鞍月店にて独立。

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