歯磨き粉の研磨剤ってどんなもの?歯に与える影響とは
こういった疑問にお答えしていきます。
歯磨き粉にふくまれる研磨剤は、歯の表面についた汚れや歯垢を取りのぞくために使われます。
研磨剤はさまざまな種類があり、主に天然由来のものと合成されたものがあります。
ここでは、歯磨き粉にふくまれる研磨剤の種類と歯に与える影響について説明していきます。
記事は5分で読み終わります。
歯磨き粉の研磨剤の種類
シリカ(二酸化ケイ素)
シリカは、天然の石英や珪砂(けいしゃ)という砂を原料として合成されたものです。
歯磨き粉にふくまれる研磨剤の中でも最も一般的なもので、柔らかいタイプから硬いタイプまで様々な粒子サイズがあります。
シリカは歯の表面についた汚れを効果的に除去することができますが、過度に使用すると歯の表面を傷つけることがあります。
アルミナ(酸化アルミニウム)
アルミナは、天然のボーキサイトを原料として合成されたものです。
シリカと同様に歯の表面についた汚れを取り除くことができますが、硬度が高く歯の表面を傷つけることがあるためシリカよりも使用頻度が低いです。
リン酸カルシウム
リン酸カルシウムは、歯の主成分であるハイドロキシアパタイトと同じ化学構造を持っているため、歯の再石灰化を促す作用があります。
また汚れを取りのぞく効果もありますが、シリカやアルミナに比べて研磨力が弱いため歯の表面を傷つける心配はありません。
炭酸カルシウム
炭酸カルシウムは天然の石灰岩や貝殻を原料として合成されたものです。
歯の再石灰化を促す作用があり、シリカやアルミナよりも優しい研磨力で汚れを取りのぞくことができます。
しかし炭酸カルシウムが含まれる歯磨き粉は泡が立ちにくく、口内でのすすぎ残しが残りやすいという欠点があります。
パーフルオロヒドロキシアパタイト(フッ化水素カルシウム)
パーフルオロヒドロキシアパタイトは、フッ化物イオンを含む歯の主成分であるハイドロキシアパタイトをベースに合成されたものです。
フッ素の効果によって歯を強化し、虫歯を予防する効果があります。
また汚れを取りのぞく効果もありますが、シリカやアルミナに比べて研磨力は弱いため、汚れが強い場合には効果が限られてきます。
歯磨き粉に含まれる研磨剤が歯に与える影響
研磨剤が歯にあたえる影響は、研磨剤の種類や研磨力によって異なります。
適切な使用方法を守ることで、研磨剤が歯にあたえる影響を最小限におさえることができます。
歯の表面の摩耗
研磨剤は歯の表面をこすって汚れや着色を除去するため、歯の表面の摩耗を引き起こします。
摩耗は歯の表面を平らにすることで、虫歯や歯周病の原因となる細菌の付着を減少させる効果があります。
しかし過度の摩耗は歯の表面を傷つけ、歯が削れてしまう可能性があります。
また歯を削ることによって歯が細くなり、歯の根元の部分が露出することもあります。
感覚過敏
研磨剤による摩耗は、歯の表面にあるエナメル質や象牙質の層を薄くするため、歯の神経に刺激が伝わりやすくなります。
そのため、歯が冷たい飲み物や熱い飲み物、甘い食べ物などに過敏に反応する感覚過敏を引き起こすことがあります。
歯面の傷
研磨剤が歯の表面をこすることで、微小な傷ができることがあります。
この傷によって細菌が付着しやすくなり、虫歯や歯周病の原因になる可能性があります。
また傷ついた歯の表面は着色しやすくなるため、逆に歯の美しさを損なう可能性もあります。
歯の再石灰化を促進する
歯磨き粉にふくまれるリン酸カルシウムや炭酸カルシウムなどの研磨剤は、再石灰化を促進する作用があります。
再石灰化は、歯の表面についた汚れや酸性物質によって失われたミネラルを補充することで、歯を強く健康的に保つために重要です。
虫歯予防効果がある
歯磨き粉にふくまれるパーフルオロヒドロキシアパタイトなどのフッ素をふくむ研磨剤は、歯の表面についた酸性物質を中和して歯の表面を強化し、虫歯予防に効果があります。
しかし、フッ素は過剰に摂取すると歯の着色やミネラル不足による歯の弱化、健康被害を引き起こす可能性があるため、適切な量で使用することが重要です。
歯垢の除去に効果がある
歯磨き粉に含まれる研磨剤は、歯垢の除去に効果があります。
とくにシリカやアルミナなどの硬い研磨剤は、歯垢をしっかりと削り落とすことができます。
しかし逆に過剰な研磨力によって歯の表面が傷つき、歯垢が付着しやすくなることがあるため注意が必要です。
口腔内のバランスを崩す
歯磨き粉に含まれる成分が口腔内のバランスを崩すことがあります。
例えば、界面活性剤が歯磨き粉に含まれる場合、口腔内の粘膜を刺激し、口内炎や口腔乾燥症の原因になることがあります。
また、香料や防腐剤などの成分によって、口腔内の微生物叢が変化することもあります。
以上のように、研磨剤は歯に対してさまざまな影響を与えます。
そのため、研磨剤を含む歯磨き粉の使用には適切な量と方法が必要です。
歯磨き粉のパッケージには使用方法や使用量に関する指示が記載されているので、それに従うようにしましょう。
また、歯医者に相談することも有効です。
歯の状態に合わせた歯磨き粉の選択や使用方法、歯科医師からのアドバイスを受けることで、効果的な歯磨きケアが可能になります。
研磨剤以外の成分と効果
歯磨き粉の種類によっては、研磨剤以外にも様々な成分が含まれています。
以下に代表的な成分とその効果をお伝えしていきます。
フッ素
フッ素は、歯の表面についた酸によって溶けたリンやカルシウムの再石灰化を促し、虫歯予防に効果を発揮します。
フッ素をふくむ歯磨き粉は虫歯予防に非常に効果的であり、とくに子供の歯には重要です。
ただし、フッ素は過剰に摂取するとフッ素中毒を引き起こすため、適切な量で使用することが重要です。
抗菌成分
歯磨き粉にふくまれる抗菌成分は口腔内の細菌を抑制し、口臭や歯周病の予防に効果があります。
代表的な抗菌成分としては、トリクロサン、クロルヘキシジングルコン酸塩、テトラサイクリンなどが挙げられます。
ただし、過剰に使用すると口腔内の正常な微生物叢を破壊する可能性があるため、適切な量で使用することが重要です。
歯根のエナメル質を守る成分
歯根のエナメル質は歯茎が下がって露出した状態になると、酸や細菌によってダメージを受けやすくなります。
歯磨き粉には歯根のエナメル質を保護する成分が含まれている場合があります。
代表的な成分としては、ノビロンやポリアクリル酸ナトリウムなどが挙げられます。
漂白成分
歯磨き粉には、歯の着色を除去するための漂白成分が含まれている場合があります。
代表的な漂白成分としては、過酸化水素、炭酸水素ナトリウム、二酸化チタンなどが挙げられます。
ただし、漂白成分は歯の表面を傷つける可能性があるため、適切な量で使用することが重要です。
まとめ
研磨剤は歯についた汚れを効果的に落としてくれるため、一概に危険なものとはいえません。
注意すべきは歯をみがく時の力加減です。
削り落とす効果が強い研磨剤入りの歯磨き粉を使って力強くゴシゴシと歯磨きしたら、必要以上に歯の表面を削ることになるため、あなたの健康な歯も削る可能性が高くなります。
歯をみがく際はなるべく優しく、歯の表面をなでるようにしてブラッシングしましょう。
ゴシゴシと磨かなくても歯垢は落とせます。
こちらの記事で歯磨きの正しいやり方について詳しく解説していますので、ぜひ一緒に歯磨きしてみてください。
歯磨き粉の効果を最大限に引き出すためにも歯磨きのやり方はとっても重要です!
これを機に、自分の歯磨きのやり方を見直してみましょう。
石川県歯科衛生士専門学校卒業
フリーランスの歯科衛生士として、ホワイトニングサロンオーナーとして独立。
また歯科衛生士の新しい働き方として、個人のSNSを起点に、キャリアアップを目指す歯科衛生士さんの応援やサポートをしている。
2022年2月〜Kiratt広報としてオーラルケア知識などのYoutube配信と広報活動。
2022年5月〜Kiratt 金沢鞍月店にて独立。