歯周病菌が全身に悪影響!?歯周病が引き起こす身体の病気について解説します!
歯周病は口の中にとどまらず、全身に悪影響を及ぼすことをご存知ですか?
命に関わるような病気を引き起こす原因の1つが歯周病菌だと最近判明するなど、歯周病はお口の中だけではなく、全身に悪影響を及ぼす恐ろしい病気なのです。
そこで今回は歯周病がどのような病気を引き起こす可能性があるのか、徹底解説していきます。
糖尿病
本来血糖値は膵臓から分泌されるインスリンによってコントロールされているのですが、歯周病が悪化するとインスリン抵抗性(インスリンが効果を表しにくい状態)が増加し、血糖値のコントロールが困難になってしまいます。
糖尿病と歯周病はお互いに悪影響を与え合っています。
両方の病気をお持ちの場合、歯周病の治りが遅かったり、糖尿病の方は血糖値コントロールがしにくかったりと、片方だけ治療してもうまく治らないことがあります。
また糖尿病は「易感染性」という、細菌やウイルスなどの感染症にかかりやすく傷が治りにくい状態でもあります。
これは歯周病の治療(親知らずの抜歯やインプラント手術など)にも影響したり、コロナウイルスやインフルエンザなどにもかかりやすくなってしまいます。
糖尿病は重症化すると目や足、肝臓にも悪影響を及ぼしますが、これらの症状も歯周病が引き金になると言われています。
ここまで説明してわかる通り、糖尿病の方は歯周病・糖尿病双方から治療していくのが得策です。
免疫力を回復するためにも、生活習慣改善と一緒にお口のケアも日頃からおこなっていきましょう。
虛血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)
虚血性心疾患は日本人の死因第2位であり、動脈硬化が原因だと言われています。
歯周病菌による慢性炎症は血管を硬化させて動脈硬化を起こしたり、血栓を作って心筋梗塞を引き起こしたりします。
さらに、歯周病菌自体が血栓のもとになったりするので、歯周病自体が虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)を引き起こす大きなリスクであると考えられます。
少しでもリスクを減らすために、生活習慣を見直したり、歯科医院で定期的な歯周病のチェックを受けるのが大事です。
特に動脈硬化の方ほど定期的に歯周病ケアを行い、症状悪化を未然に防ぎたいですね。
腎臓病
歯周病と腎臓病もまた、お互いに悪影響を与え合っています。
腎臓病の方は血中に老廃物力が低下し、歯周病が進行しやすくなります。
また、腎臓は骨を作る機能もあるため、慢性腎臓病の方はその機能が低下し、歯周病による骨の吸収を早めます。
歯周病による炎症物質は血管に悪影響を与え、腎臓にも負担がかかります。
ある研究によると、歯周病によって慢性腎疾患のリスクが通常の4倍に増加するとの報告もあるそうです。
また難病のひとつであるIgA腎症は、扁桃炎や歯周病菌が影響しています。
しかも早期に発見できなければ、予後不良で治療方法は進行を遅らせるしかないという非常に恐ろしい病気です。
腎臓内科や泌尿器科、歯科が連携して予防にあたる必要があります。
ほかにも一度減った骨の量は回復しづらいので歯周病をしっかりとコントロールし、慢性腎臓病との双方向の悪影響を断ち切りましょう。
大腸がん
最近の研究によって、大腸がん患者のがん組織と唾液に共通した菌が存在していること分かったのです。
その菌はFusobacterium nucleatum(フソバクテリウム・クレアタム:E.n.)と呼ばれるお口の中にいる歯周病菌の一種です。
ごくありふれた歯周病菌が、大腸がん患者の4割以上に存在していることが発見されたのです。
このように一見関係なさそうな病気でも歯周病と深く関係しています。
お口は消化器官への入り口なので、日頃の歯周病ケアをしっかりとおこない、歯周病菌が全身へ広がるのを防ぎましょう。
認知症
歯と認知症には深い関係があると言われています。
歯を失うと噛み合わせが悪くなります。噛み合わせが悪い方ほど、店頭や寝たきりのリスクが高いこともわかっています。
認知症が進行すると、咀嚼に影響を与えることもわかっており、誤嚥も起こりやすく日本人の死因第3位である肺炎+誤嚥性肺炎にもつながりやすいです。
さらに最近では歯周病菌の毒素が体内に侵入し、脳に蓄積されることで記憶障害を起こすこともわかってきました。
他にもアルツハイマー病の人を対象にした調査で、病気が進行している人ほど歯の本数が少ないという調査結果も残っています。
このように歯と認知症には深い関係があるので、歯周病の治療や予防によって、認知症の発症や進行を遅らせることができる可能性があります。
まずはかかりつけ医に相談しましょう。
最近では、物忘れ外来と掲げている病院もあるのでおすすめです。
早産・低体重出産
病気とは少し違うかもしれませんが、妊婦さんが重度の歯周病になると早産や低体重出産のリスクが約7.5倍になると言われています。
これはタバコやアルコール、年齢による要因よりもはるかに高い数値です。
他にも早産や低体重出産であった母親を調査したところ、正常分娩の人と比べて口腔内の歯周病菌の量が4.5倍も多いという調査結果もあります。
これは歯周病によってうまれる炎症物質が血流にのって胎盤に達し、早期に至急の収縮を誘発するためだと考えられています。
妊婦さんは産まれてくる赤ちゃんのためにも、人一倍歯周病ケアをするようにしましょう!
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まとめ
どうでしたか?たかが歯周病と思って甘く考えていませんか?
健口=健康と言っても良いくらい、お口の環境は全身の健康と深く関係しています。
歯周病を予防することは、全身の様々な病気を予防することにも繋がります。
健康な身体を維持するためにも、定期的な健診やデンタルケアを行いましょうね!
小樽歯科衛生士専門学校卒業
フリーランスの歯科衛生士として、ホワイトニングサロンオーナーとして独立。
2023.3〜歯科衛生士常駐のセルフホワイトニングサロン開業
・ホワイトニングサロンKiratt札幌店オーナー
・歯科衛生士歴3年目
・ホワイトニングコーディネーター資格あり