歯の矯正で保険が適用される条件や詳しい症例を解説します!
まず最初にお伝えしたいのですが、基本的に歯の矯正は保険適用外の治療になります。
100万円近い矯正費用が全額自己負担になるので、金額が理由で矯正をあきらめている人も多いのではないでしょうか?
ですが諦めるのはまだ早いです。
歯の矯正治療は、ある特定の条件を満たした場合にかぎり健康保険が適用になります!
そこで今回はどうすれば保険適用で歯列矯正を受けられるのか、その条件や症例名について詳しく解説します!
なぜ歯の矯正治療は保険適用外なのか
保険が適用されるには「放置していると健康が害されるような病気の治療」である必要があります。
そのため虫歯や歯周病の治療には保険が適用されます。放置していると健康が害されるからです。
一方歯科矯正の場合はどうでしょう。歯を矯正しなくても健康が害されることはほとんどありません。
つまり歯の矯正治療は見た目を美しくするために行うんでしょ?美容整形と同じでしょ?という理屈で保険が適用されないのです。
保険が適用されるための具体的な条件
歯の矯正治療は審美目的とされるせいで保険が適用されません。
逆に言えば、治療だと認められれば保険適用で歯列矯正ができるということです。
その条件は下記の通り。順に詳しく説明していきます。
- 永久歯が3本以上生えてこない方で歯茎の切開手術が必要な場合
- アゴが歪んでいて噛み合わせに異状が出ている場合
- 「別に厚生労働大臣が定める疾患」に起因した咬合異常に対する矯正歯科治療
①永久歯が3本以上生えてこない方で歯茎の切開手術が必要な場合
通常は小学校高学年くらいの年齢になると生えてくるはずの永久歯が、3本以上生えてこない場合は、歯列矯正に保険が適用されます。
先天的なケースもあれば、歯並びが悪くて歯茎の中に永久歯が埋まっているケースもあります。
②アゴが歪んでいて噛み合わせに異状が出ている場合
噛み合わせに異状が出るほど顎が歪んでいる方は保険が適用されます。
このような方は「顎変形症(がくへんけいしょう)」という病気と認定されるからです。
顎変形症の方は出っ歯や受け口になっていることが多く、噛み合わせが悪いことで口や全身の発育にまで大きな悪影響を及ぼすので早急に治療したほうが良いです。
③「別に厚生労働大臣が定める疾患」に起因した咬合異常に対する矯正歯科治療
これはどういう事かというと、厚生労働大臣が定める先天性の疾患をお持ちの方は保険適用で歯科矯正ができますよということです。
厚生労働大臣が定める先天性の疾患とは下記の通りです。
ここで注意点が1つあります。
上記の疾患をお持ちの場合でも、「厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関」でしか保険適用の歯科矯正は受けられません。
歯科医院ならどこでも受けられるわけではないのです。
対象の保険医療機関については地方厚生局ホームページに最新の情報が掲載されているので、必ずチェックしてくださいね↓
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/
矯正治療の種類
歯の矯正治療は主に4つの種類があります。
①ワイヤー矯正
一番有名なのがワイヤー矯正です。
歯の表面に金属の「ブラケット」を装着し、それらを結ぶ金属ワイヤーによって歯を動かしていきます。
応用が効くので多種多様な歯並びの治療ができますが、矯正装置が目立つのがデメリットです。
②審美ブラケット
ワイヤー矯正のブラケットがセラミックやプラスティックで作られたものを審美ブラケットと呼びます。
金属よりも歯に近い色のため目立ちにくいのが特徴です。
その反面ワイヤー矯正よりも費用が高額になるというデメリットがあります。
③裏側矯正
歯の表面ではなく、裏側に矯正器具を取り付ける治療方法です。
矯正治療の中で一番目立たないのが裏側矯正のメリットでしょう。
下手したら矯正していることに気づかれないのではないでしょうか。
もちろんデメリットはあります。歯の裏側は複雑な形をしているので、通常のワイヤー矯正と比べてはるかに難易度が高いです。
そのため施術をする歯科医師に高いスキルが求められます。下手な歯科医師に当たると矯正がまったく機能しないことだって考えられます。
当然費用も高額になります。
④マウスピース矯正
上記3つの矯正とは全く違う、マウスピースをはめて行う矯正治療です。
食事中や歯磨き時に取り外すことができるのが大きなメリットになります。
4つの矯正治療の中で最も費用を抑えれることができますが、あまりに歯並びがひどい方は受けることができません。
一番保険適用されやすいのはワイヤー矯正
この中で一番保険適用されやすいのはワイヤー矯正です。
「審美ブラケット」「裏側矯正」は見た目に配慮した治療法のため、保険適用される可能性は限りなく低いとされています。
残念ながら「マウスピース矯正」はどんな条件下においても保険適用外となります。
歯の矯正と保険に関するQ&A
Q 保険適用の矯正治療を受けるためには何が必要ですか?
保険適用の矯正治療を受けるためには、「厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものと地方厚生(支)局長に届け出のある保険医療機関」で受診する必要があります。
対象の保険医療機関については地方厚生局ホームページをご覧ください。
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/
Q 自費治療と保険適用治療の費用の違いはどれくらいですか?
治療方法や歯の状態、歯科クリニックによって変わります。
一般的なケースでいうと矯正治療が約100万円の場合、およそ30万円〜程度の自己負担額で治療が受けられます。
Q 何歳まで保険適用で矯正治療が受けられますか?
保険が適用されるかどうかは年齢よりも、治療が医学的に必要かどうかが基準となります。
治療が必要とされれば何歳でも保険は適用されますので、一度歯科医院でご相談ください。
Q 矯正治療のために特別な保険に加入する必要はありますか?
一部の保険会社では、歯科治療や矯正治療専用の保険を提供している場合があります。
しかし、必ずしも特別な保険に加入する必要はありません。
まとめ
歯の矯正は審美目的とされるため、基本的には保険適用外の治療になります。
しかし健康を害するほどの疾患がある方は、疾患の治療として保険適用で歯の矯正を行うことができます。
自分が厚生労働大臣が定める疾患に当てはまるか分からないという方は、お近くの歯科医院で相談してみましょう!
また歯並びが悪いと虫歯や歯周病のリスクが高まるのは間違いありません。
保険が適用されないという人も、ぜひ一度歯の矯正を検討してみてください!
小樽歯科衛生士専門学校卒業
フリーランスの歯科衛生士として、ホワイトニングサロンオーナーとして独立。
2023.3〜歯科衛生士常駐のセルフホワイトニングサロン開業
・ホワイトニングサロンKiratt札幌店オーナー
・歯科衛生士歴3年目
・ホワイトニングコーディネーター資格あり